怒りや悲しみ、自責の念などは、苦しいです…。
ひとそれぞれの苦しみがあり、その深さも人それぞれです。
それは、自分の考え方や価値観から生じます。自分の思考のクセです。びっくりするくらい固定化されています。
これらの感情は、自分をとても大きく苦しめることがあります。生活や生きることそのものに影響を与えることもあります。
強い怒りを外に出してしまえば、他人や社会との軋轢ができ、環境的にも感情的にも自分を追い込みます。
出すことができず、自分で押さえ込めば、その強烈なエネルギーは、強いストレスとして自分の身体や心を攻撃します。
同じように、悲しみも、諦めも、自責の念なども自分を苦しめます。
私自身が何度も何度もこのような感情に襲われ、これらの苦しみがどんどん大きくなり、手放せず、苦労し続けた経験があります。本当に辛いですよね。
では、これらの苦しい感情に別れを告げ、少しでも幸せな毎日を送って行くにはどうしたら良いのでしょうか。
考え方を手放すのは難しい
これらの感情で苦しんできた人は、手放すことが決して簡単では無いことを知っています。
なぜなら、これらの感情は脳にとても大きな影響を与えていて、すでに自分の手を離れ、勝手に行動しているからです。
これらの感情を生じさせる考え方は、たいてい幼い頃から周囲の環境(たとえば家族や学校)などの要因で埋め込まれたものです。
小さい頃に親から言われた言葉などが多いですね。学校の先生や友達なども影響していることが多いです。思い当たりますか?
これらは長い時間をかけて自分の考え方として、自分に同化しています。
なので、これらの考え方から湧いてくる感情は自分のものと考えてしまいます。
そして、自分を責めたり苦しんだりするんですね。
でも違うんです。
脳はひたすら繰り返す

脳はひたすら繰り返す作用があります。何度も何度も繰り返します。自分が望んだ望まない関係無く。
それは、情報処理と伝播能力の役割を持つニューロン(神経細胞)によるものなんです。このニューロンが考え方を固定させるのです。
ニューロンは繰り返しによって形成され、繰り返しによって、更に強化されていきます。
このニューロンのパイプは繰り返されるほどに太くなり強固になるので、小さい頃に作られたパイプは、今ではとても頑丈に感じます。
さらに、感情によって考え方が強められ持続するので、増々拡大します。
その固定された考え方で苦しむ人には、抵抗し難く感じますよね。
さすがに、ちょっと無理…。
……無理でしょうか?
脳の可塑性(かそせい)
「可塑性」って難しい言葉なので嫌いですが、このようなことです。
神経系は外界の刺激などによって常に機能的、構造的な変化を起こしており、この性質を一般に“可塑性“と呼んでいる。神経の可塑性は大きく3つに分けられる。1つ目は脳が発生していく時や発達していく段階にみられる可塑性。2つ目は老化や障害を受けた時などに神経の機能単位が消失するが、それが補填・回復されていく場合。3つ目は記憶や学習などの高次の神経機能が営まれるための基盤となっているシナプスの可塑性(synaptic plasticity)である。
引用:コトバンク
…ぜんぜん分かりません。
要は、かつて脳は、一度神経回路が固定されたら、もう二度と変わらないと考えられてました。でも、実はぜんぜんそんなことは無かった、ということです。
脳はいつでもその状況に合わせて変化します。
可塑性って本当に凄くて、完全に死んでしまった脳の一部があっても、ぜんぜん違う場所の脳の回路が、それと同じ役割を持とうとするくらいなんです。健気です。
なんか面白くて、例えば、足の親指がなんらかの理由で無くなったとします。なのに、その無くなったはずの指が、なんと、夜な夜な痒くなることがあるんです!
これは、みなさんは親指心霊と考え恐怖しますが、違います!これも脳の可塑性に関係するんです。可塑のバグです。
とりあえず、どんな状況でも、いつでも脳に働きかければ、脳はしっかり反応して努力してくれるんです。
もうひとつ引用。
発達段階の神経系が環境に応じて最適の処理システムを作り上げるために、よく使われるニューロンの回路の処理効率を高め、使われない回路の効率を下げるという現象
引用:ある科学論文の誕生
これは、パターン化されたニューロンは、繰り返すことで太くなる反面、使わなければ小さくなるということです。
ニューロンの法則を利用する
脳はいつでもパターン化されたニューロンを作ることができます。
そして、パターン化されたニューロンを無くしてしまうこともできます。
ということは、これを利用すれば苦しい思考から別れることが出来るのでは?
そうです、できます!
先に書きましたが、脳のニューロンは繰り返されることで育ちます。
そして、パターン化は、徐々に段階を経て形成される性質があります。
実は、一瞬で変更されることもありますが、それは「衝撃的」に感じることが生じた場合です。
他人や何かから、強烈に考え方を変えるインパクトを与えられた時に変わります。
でもそれは自分で行うことではありません。自分で行おうとしたら、修正ではなく、トラウマになりかねません。時間をかけて行う必要があります。
まず、自分を苦しめる考え方とは違う、気持ちを楽にしてくれる新しい考え方を見つけます(それがとても難しいですよね。今度それを書きます)。
そして、それを時間をかけて頭で繰り返します。
元の苦しい考え方に支配されている時が来たら、新しい考え方で上塗りします。出来る時はしてください。
しかし、大抵は元の考え方の力が強く、抵抗できません。
なので、その時は、何も考えずにいられる自分なりの方法で逃げてください。怒りならおよそ1〜2時間でやりすごせます。
そして、普段落ち着いている時間帯に、新しい考え方を少しずつ自分に浸透させてください。その考え方を利用できるタイミングを見つけては、その考え方を利用してください。
その考え方を文字にしたり、口に出して視覚や聴覚に訴えます。文字にしたものを見えるところに貼るのはとても良いです。
こころから、その考え方を感じられるように、その考え方になりきれた自分を想像してください。
あとは、それを続けるだけです。
少しずつその考え方が自然に出来るようになってきます。
ニューロンが形成され始めたということです。なので、あとはしっかり使い続けてください。
ただし、ある程度自分に馴染むのには時間がかかります。これは元の考え方の影響が強いほど時間がかかります。でも、当然ですよね。傷が深ければ、時間がかかるのは当然なので、時間をかけましょう。

あとは、元の自分を苦しめる考え方への対策です。
こちらはとても大きいので、頑張って作っている新しい考え方を何度も何度も破壊しようとします。これも当然です。
なので、それを覚悟して取り組むこと。なんども破壊されますが、気にせず続けて行きましょう。
元の考え方に支配され時の対策ですが、支配されている時間を長引かせないことです。
ニューロン形成は時間と関わりがあるとも言われています。苦しい考え方に支配されるのは自動なので仕方がないですが、その支配の時間を短くすることは努力でできます。
そして、時間を縮めることで、その元のニューロンを小さく小さくしましょう!小さく小さく。
逆に、新しい考え方でいる時間を増やしていくことで、ニューロンを太くして行きましょう。太く太く!
そうやって逆転していきます。
まとめ
脳は繰り返しの習慣があります。これは自動です。自分が望む望まないに関わらず、何らかの状況に対し、その思考や考え方をピックアップします。
でもこれは、自分で修正できます。その仕組みをお伝えしました。
これまでの苦しい考え方は、やはり力が強いです。それは当たり前なんです。だって、昔からその考え方だから。
でも変えることは出来ると知ってください。
大丈夫!何度も負けます。でも良いんです。時間をかけましょう!
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