私が10年間体験したうつ病の世界を、思うまま、じぶん目線で書いています。
今回は、うつ病の人に言ってはいけないと言われてる「がんばれ」について。そして、なんて声をかけたらいいの?…についてです。
たしかに「がんばれ」は苦しい…
うつ病の人に「がんばれ」を言ってはいけない! 「根性」もダメ!
たしかに、その通りです。とても苦しい…。
では、なぜいけないのでしょうか?
走り続けて足を疲労骨折した人に、「もっと走れ」って言わないですよね?
それと一緒なんです。
うつ病の基本的な原因は、ストレスが我慢の限界を超えたこと。
我慢の限界とは、がんばれる限界です。
小さいストレスが長ーーい期間続いた…
中くらいのストレスが何度も続いた…
大きいストレスが一気に来た…
いろんなパターンはあるにせよ、限界を超えてうつ病になります。
うつ病になると、ひとりぼっちでホラー映画の世界に住みます。
そのホラーの世界で、不安という黒い霧に襲われます。じっとりまとわりつかれます。そして、後悔、自責、怒り、悲しみ、嫉妬…、あらゆるネガティブな感情に押しつぶされます…。
自分への批判、他人への批判、自分への批判、他人への批判、運命への批判…、ぐるぐるループが止まらない…。 もうしんどい、やめたい…。
自律神経もうまく働かないので、身体も重く鈍い…(這ってしか歩けなくなる人もいます)。なのに、緊張で体に力が入り、全身こわばり状態…。
周りからみれば、ただじっとしているだけに見えますよね。表情もないし…。
でも、うつ病の人ってこんな状態なのです。
こんなときは、「死にたい」と思いますが、身体は動きません。そんなエネルギーはない…。
だから、消えてしまいたい、と考えるのです。
同じように思う人は多いです。
でも、根が真面目だから「生きなきゃいけない…」「いろいろとがんばらなきゃいけない…」と追い込みます。でも、ガス欠です。まったくがんばれません…。
こんなみじめな状態で、他人に「がんばれ」や「根性」と言われて、何ができるでしょう。
なにもできません。だから自分を責めているんです。
それこそ ”病的” に…。
そんなときこそ、「がんばれ」が必要!
疲労困憊。何もできなくて、自責自責自責…(涙)。
なのに、逆に「がんばれ」を言って欲しかったことがあるんです。
それは、「がんばって休みなさい」という言葉。
自分の頭の中は…
『このままじゃダメだ』
『なにかしなくてはいけない』
『こんな自分で申し訳ない…』
ネガティブな感情がフル稼働。
そんなとき…
「そんなこと考えない! むずかしいかもしれないけど、頑張って休んで! 病気なんだから!」
こんな言葉をかけてもらえたら…。
そんな風にいつも思っていました。
休めば良くなる
うつ病の私達は、いつも頭の中がぐっちゃぐちゃ。
働いて欲しい理性が働かなくて、黙っていて欲しいネガティブな感情は大暴走。
本人でさえ、どうしていいのか分かりません。
これは、脳機能的な問題です。大脳皮質や扁桃体、基底核などの異常が知られています。
うつ病は脳の機能不全。脳の病気でもある。
脳は、なにかを繰り返すと、だんだんそうなるという特徴があります。
例えば、意図して「リラックス」を繰り返すと、脳内に「リラックスをする」という回路ができ始め、しだいに、簡単にリラックスできるようになってきます。
ということは、うつが重いときは、うつ状態になる回路がすっかり出来上がった状態、うつ専用脳として、がんばって働いているということです。
がんばりすぎですよね、まったく……。
そんな中、意図して少しでも「休む」ことを繰り返すと、うつ脳の回路が静まり、休める回路ができ始めます。
抗不安薬にはこの役目もありますね。
そうやって、少しでも休めるようになってくると、うつ脳の暴走が更に落ち着き、もっともっと楽になってきます。
だから、「がんばって休む」は大切なんです。
私自身もそうやって、回復していく感じでした。
うつ病の人と話すとき
普通の人には、うつ病の私達って ”はれもの” だと思います。
なんて声をかけていいか難しいですよね。分かります。
でも、うつ病の人がうつ病の人へ声をかけるのは難しくありません。なぜなら、経験しているから。
ということで、うつ病の人と話すときに、気にしていただけると嬉しいこと2つ。
ひとつめは、”本人はいつも、疲労困憊してるのに、がんばって無理をしなければならないと考えている” こと。
ふたつめは、”うつ病は、脳を休ませなくては回復しない” こと。
なので、「自分を責めさせないこと」、「無理をさせないこと」、「安心して休ませること」を意識して話をすると、上手くいきやすいと思います。「病気なんだからね」と。
…安心は本当に大切です(涙)。いつも、少しでも安心していたかった…(泣)。
とはいえ、たとえそう言われても、本人は簡単にできません。なぜなら、うつ脳が出来上がっているから。
なので、無理にさせようとはせず、意識して会話をする程度でいいと思います。
それだけでも、かなり嬉しいし、安心できるのです。
回復してきたら「がんばれ」を言っていいのか?
回復期には「がんばれ」が必要だとも言われています。
もちろん人によるとは思いますが、自分は経験者として、よほど普通の生活ができるようになってからじゃないと無理かなーと思います。
「仕事に復帰するときの訓練などでは、がんばらないといけないことがある…」というご意見もあります。
それはそのとおりだと思います。
ただし、まだその状態では、かなり無理しているではないでしょうか。
膨らみきった風船のようなもので、他人がなにか刺激を与えると、破裂してしまうこともあるかもれません。
なので「がんばれ」は、まだ危険な気がします。
がんばらなきゃいけないのは、本人が充分に理解していますし…。
それよりは、むしろ、無理をし過ぎることを心配した方がいいかもしれません。
途中で苦しくなったら、まだ負荷がかかりすぎてるかも。また休んで、できそうなときに挑戦すればいいです。
失敗を繰り返した私は、そう思います。
本人が「がんばる」って言い始めたら、「がんばれ」OKの合図!
だいぶ回復してきたら、「何かをしたい」という意欲が湧いてきます。
そんなときは、したいことはやらせてあげて、無理をしないよう、一言つけ加えてあげるといいです。
なにかができたら、「良かったね−」って一緒によろこんであげてください。
そのうちに、もっといろいろできるようになります。
そして、本人が「がんばる」という言葉を使うようになったら、他の人が使ってもいい合図です。
「無理をしないようにね、でも、がんばれそうならがんばろう!」って感じがいいと思います。
本人に元気が出て、挑戦することを楽しむようになってきたら、応援の意味で「がんばれ」をいってあげてください。
無理をさせ過ぎるような「がんばれ」は、永遠に必要ないのかもしれません。
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