怒りは攻撃的で、他人や自分をも傷つけます。起こりやすい人は、人から警戒され、時には、大きな失敗を起こします。
この記事では、そんな厄介な怒りやイライラの抑え方、対処方法をご紹介します。
怒り・イライラの本質を理解する
・怒りやイライラの本質とは「脳が理解できないサイン」
怒りの本質とは、脳内科医の加藤俊徳氏(MRI脳画像診断により1万人以上を診断/治療)いわく、「脳が理解できないサイン」です。
※この記事は、上の本の要約ではありません
怒りとは「意味がわからないよー、パニクってるよー」という状態です。逆に言えば、「納得したい!」ということです。
たしかに! パニクってる感じがする! 納得したいんだね
そうですねー。今ある情報に対して、「自分に理解できる範囲を超えてるよー」という反応が、感情として現れたものです。
脳は「納得したい!」という状態
・怒りの脳は「非効率」な状態
怒っているときの脳は、パニックになっています。上手に回転しているとは、とても言えない状態です。
理解できないので、止まっています。「フリーズ」とも言えます。だから、とても非効率なのです。
たしかに、怒ってるときの頭は…、なんか凝り固まってる気がします…
そうなんです。本来、するするっと脳が潤滑に回転していれば、怒りの状態にはなりません。
怒りの状態にならないの?
はい。回転していれば、理性的(客観的)に考えられます。回転が止まってるから、理性的(客観的)にはなれないのです。
脳はパニックで「フリーズ状態」 だから「非効率」
・怒りの脳は「固執」している状態
怒りの脳は、理性的に考えられないのでフリーズします。フリーズすると「固執」します。
固執…?何に?
フリーズした瞬間の自分の「意見・価値観」「プライド」「信じていたこと」などです。
そうかー、たしかに固執している…
していますよね。そして、自分は正しいと思いこむのです。
うん、すごい思ってる。たとえ、自分の理屈は正しくないかも、と思っても、相手の「言い方」とか「態度」とか「正しくない」って思っちゃう…
はい、そんなときは、ムリにでも、自分が正しいところ、もしくは、相手の悪いところを探しますよね。
とはいえ、やはり「自分の理屈が正しい」と思いこんでいることが、ほとんどですが…。
非効率な脳は「自分が正しい」と思い込み「固執」する
・正しい判断ができない状態での行動は危険
でも、脳は「非効率」な状態。判断できず、その瞬間の自分の価値観に固執して、固まっている状態。それは、「自分が間違っていても、分からない状態」とも言えるのです。
脳は、自分が間違っていても、分からない状態…
血流が過剰に送られてきて、酸素を取り入れすぎている状態です。そのせいで、脳はパニックを起こし、理性はフリーズします。適切な動きができず、客観性が無くなるのです。
なんか、浅瀬で溺れてるみたい。落ち着いて、普通に立てば、息が吸えるのに…
はい。溺れるていることしか分からない…。怒っているときの脳は、そんな状態です。そんな正しい判断ができない状態での行動は、当然、大きな失敗を生みやすいのです。
うん、「大きな失敗」どころか、「とりかえしがつかない失敗」になってしまいそう…
気をつけなくてはいけないですね。
- 脳は「自分が間違っていても分からない」状態
- その状態で行動すると「とりかえしのつかない失敗」になりやすい
怒ったときにしてはいけないこと
・怒ったとき、イライラしたときは「判断」しない
怒っているときの脳は、判断できない状態。間違っていても、分からない状態。だとしたら、してはいけないことは、当然「判断しない」ことです。
そうだよねー…
ここでの「判断しない」というのは以下のとおりです。
- 相手や状況を「裁かない」こと
- 自分が正しいと「結論づけ」しないこと
先程もお伝えしましたが、「怒り」は脳が非効率で判断できない状態です。どれだけ自分が正しいと思っていても、適切な判断ができていないのです。
怒ってる時は、めちゃくちゃ身勝手な判断をしやすいし、自分が正しいって、思い込もうとしてるから、危険だってことだね
怒ってるときは「判断」しない
・相手や状況を「裁かない」
・自分が正しいと「結論づけ」をしない
・「判断」するのは1時間待ってから
怒ったとき、イライラしたとき、判断はしてはいけません。でもそれは、言いかえると「落ち着いてから、判断しましょう」ということでもあります。
「正しく判断できない」怒りの状態は、1時間ほど続きます。2014年のベルギーでの調査では、2時間という結果も出ています。
けっこう、長い。「判断せず」って難しそうだなー…
そうですね。なので、そういうときは、
「私が正しいと感じるけど、違うかもしれない。だから、腹立つけど、ちょっと待とう」
って、くり返し考えるのが良いと思います。
「たぶん、私が正しい。でも、違うかもしれない。用心して1時間待つ。それから考えてやる」って感じだね。…正しくなかったら、ほんとうに怖いもんね
アンガーマネジメントでは「6秒ルール」というものがあります。「怒りを感じた時のピークが6秒だから、6秒数えてやり過ごしなさい」というものです。
そうかー、じゃ、怒ったときは6秒数えて、「1時間は判断はしない!」と自分に言い聞かせるといいね…
1時間、もしくは、2時間ですね。
怒ったときは6秒乗り切り、1〜2時間「判断」せずに待つ
怒りやイライラを抑える・解消する方法
では、イライラ・怒りを抑える・解消する方法です。以下の2つに別けてご紹介します。
- 原因が目の前にあるとき
- 原因から離れているが怒りが収まらないとき
2つに別けるんだね
はい、多少性質がちがうので、2つに別けました。
・原因が目の前にあるとき(怒りを抑える)
怒りのピークに襲われたとき(ピークは繰り返すこともある)は、ゆっくりと深呼吸をしながら、以下の2つを思い出してください。
- どんなに自分が正しく思えても、間違ってるかもしれない
- 今、感情のまま動くのは危険
これだけでも、6秒乗り切れることがありますが、それでも難しい場合や、腹が立つ状況が6秒以上継続している場合は、以下も試してください。
全部、覚えられないよ…
どれか一つでいいです。全部覚えたとしても、怒ったときは、間違いなく思い出せません。なので、自分に合ったもの、どれか一つに絞りましょう。
とっさにできるやつだね
はい。怒りを抑える基本は、怒りをもたらす原因から「意識を反らす」ことです。上記の方法を行いながら、その行為に集中し「怒りの原因」から意識を反らしてください。
そうか、瞬間的な怒りを抑えるのは、その対象から、意識を反らすことなんだね
そうです。なにか集中できることが他にあれば、それでも大丈夫です。そして、冷静になれるまで待ちます。
- 怒りがピークのときは、深呼吸して、自分が間違っているかもしれないと言い聞かせる
- 怒りの原因から意識を反らす
・イライラ・怒りが収まらないとき(怒りを解消する)
怒りのピークを乗り切ったあとも、イライラ・怒りが収まらない場合の対処法です。基本は、以下の2つです。
- 冷静に判断できるまで待つ
- それまでは、別のことに集中する
「自分が正しい」という思いに支配されたときは、「わたしはそう思っているんだな」と客観的に受けとめ、1時間後まで「保留」にしましょう。
では、イライラ・怒りを解消する方法です。
散歩などのウォーキングは、怒りの原因に集中してしまうことがあります。なので、音楽やトークなどを聞きながら行うことを、オススメします。瞑想も、同じような理由で、誘導瞑想をおすすめします。
こっちも基本的に、意識を反らすことなんだね
そうです。単純にまとめると、以下のようになります。
- 何か別なことに集中すること
- 疲れるまで身体を動かすこと
- 大声を出すこと
まさにストレス解消と同じですね。
身体を動かしたり、仕事や趣味をしたりしながら、別な何かに集中する
・「理解」できれば、怒りは収まる
先程の解消方法の中に、ちょっとだけ毛色の違うものがありましたね。こちらです。
うん、気になった…
相手の立場や考え方が理解できたときって、ふっと怒りが収まったことはありませんか?
ある…
脳において、怒りとは「理解させてほしい」ということでした。だから、理解できることがあれば、怒りは収まりやすいのです。
なるほど! でも、それは、相手のことをすべて受けいれるということ?
そうではありません。一部分でも、自分がなんとなく受け入れられる部分があれば、それで、たいていの怒りは解消します。
よく「相手のいいところを探す」ことを勧められますね。これも、自分が理解できるところを見つけることです。
そうかー
脳から見ると「相手への理解」が、怒りに対する本質的な解決方法になります。
怒りの本質的な解決方法とは「相手への理解」
まとめ
では、まとめです。
怒りの本質とは「納得したい!」ということ
怒りの脳は「パニックでフリーズ」状態。だから「非効率」
非効率な脳は「自分が正しい」と思い込み「固執」する
怒りの脳は「自分が間違っていても分からない」状態
その状態で行動すると「とりかえしのつかない失敗」になりやすい
怒ってるときは「判断」しない
・相手や状況を「裁かない」
・自分が正しいと「結論づけ」をしない
怒ったときは6秒乗り切り、1〜2時間「判断」せずに待つ
怒ったとき(怒りがピークのとき)
・深呼吸して、自分が間違っているかもしれないと言い聞かせる
・怒りの原因から意識を反らす
怒りが収まらないとき
1〜2時間、身体を動かしたり、仕事や趣味をしたりしながら、別な何かに集中する
怒りの本質的な解決方法とは「相手への理解」
以上です。
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