
自分の猜疑心に悩むあなたは、本来、とても心の優しい人です。だからこそ、猜疑心はあなたにとってストレスが強く、苦痛なのです。
その苦痛を克服するために必要なのは「心の自立」です。

「心の自立」?
はい。以下の内容を順をおって説明しますね。
- 猜疑心の「本質」と「原因」(性格の鎧、魔法のマント)
- 猜疑心が苦痛なのは「本来の自分」ではないから
- 「心の自立」を促す16個のメッセージ
猜疑心の意味と本質

・言葉の意味
猜疑心とは「『猜疑』する心」です。そして、猜疑とは…
[名](スル)人の言動をすなおに受け取らないで、何かたくらんでいるのではないかと疑うこと。「猜疑心」
引用:コトバンク
まとめると、猜疑心とは、自分に不利になるのではないかと他人を疑ったり、妬んだりすることを言います。悪い意味で、疑い深いことです。

もう知ってるよー!
すいません…。でももうちょっとだけ。猜疑心と懐疑心の違いです。
猜疑心:妬み嫉みなどの不信感
懐疑心:疑問に思うこと
懐疑心は、単純に「正しいかどうか」の疑問、それに対し、猜疑心は「ネガティブな感情」が伴ったものです。

ネガティブかそうじゃないかの違いだね
はい、心の問題です。
「猜疑心」と「懐疑心」の違いは、心の問題
・猜疑心は「性格の鎧」
猜疑心は、心理学的には(ちょっと古い言い方ですが)「性格の鎧」と呼ばれるものです。

性格の鎧? よくわからない…
自分を守るための「魔法のマント」とも言えます。猜疑心の強い人は、なんらかの原因で、自分に自信をなくしています。自分の「自信のなさ」「弱さ」に対する「恐れ」から「防御壁(魔法のマント」を作ります。それが、疑うこと、猜疑心です。「心に鎧を着ること」と言っても良さそうです。。


そうかー、「鎧としての性格」なんだね…
はい、それは「傷つきたくない」という心の叫びでもあるのです。

そうかー…
傷つかないための心の鎧、叫び、それが猜疑心
・猜疑心が苦痛なのは「本来の自分」ではないから
「傷つきたくない」という心の叫びが「猜疑心」、でも「猜疑する自分」は「本来の自分」ではありません。だから「混乱」します。そのうえ「猜疑心」そのものに「嫌悪感」があるため、疑う自分を責めます。

……
猜疑する自分は悪い人間…。自分を責め、混乱し、苦しむのです。猜疑は止められないので、さらに混乱は深まり、気持ちに余裕がなくなります。


こんな状態なら、気持ちに余裕なんて持てない…
おそらく、現在は、疑うことが「脳のクセ(強力な回路)」になっていて、小さな条件でもすぐに発動するようになっています。

蛇口が閉まりきらなくて、止まらない感じだね…
そうですね。壊れた蛇口のようなのかもしれません…。
猜疑する自分は本来の自分ではないのに、自分を責めてしまう
猜疑心の原因を探る

・過去の大きな心の傷・失望(依存の裏返し)
上記にもあげましたが、苦痛になるほどの猜疑心の原因は、おそらく、過去にあります。とても傷ついたり、大きな失望をしたりした過去です。

とても悲しかった過去だね…
そうです。その原因は、家族や仲間など、本来「信頼」すべき人たちとの間で生じていることが多いのです。だから、裏切られた「信頼」に対する「依存」の「裏返し」と言えるのです。

依存の裏返し…?
本当は信頼したい…。心の奥では、今でも信頼することに「依存」しているのです。だからこそ、裏切られることがとても怖い。怖いから鎧を着る。でも、苦しい…。苦しみを終わらせるには、信頼への依存を終わらせる必要があります。それが「自立」です。

なるほど…
信頼を大きく裏切られた、悲しい過去がある
・猜疑心の原因を探る
猜疑心の原因を探るのは、本人にとって大変なことかもしれません。

悲しみの大きい過去なんて、思い出さないほうがいいじゃない?
はい、必ずしも思い出すことが必要ではありません。とはいえ本人は、自分を嫌い、苦しんでいます。「でも、それには原因があったんだ」と理解することで、気持ちが楽になることも多いのです。

自分のせいじゃなかったんだって安心できるのね
はい。それに、猜疑に襲われたとき、原因が分かっていれば、その猜疑心を「客観視」できるのです。客観視は、猜疑心の苦しみから瞬間的に開放してくれる役割もあります。

そうなんだー
それでは、原因の探り方を、ごく簡単にご紹介します。すでに、自分の原因を把握している人は、飛ばしてくださいね。
「内省」と「5つのなぜ」の2つです。
- 内省:心の中(猜疑心)を見つめ、何をどう感じたのか、なぜ感じたのかを熟考する
- 5つの「なぜ」:その気持を「なぜ」感じたのかを、5回程度さかのぼる


これで原因を探れるの?
はい。特に「内省」は有名です。「5つのなぜ」はビジネスでも使います。どちらにしても、何度も何度も行い、熟考ことが大切です。私は「5つのなぜ」をよく使いますが、機会があるたびに、深く熟考することで、原因にたどり着いたことがよくありました。
懐疑心の原因を知ることで、気持ちが楽になり、猜疑心を客観視できる
克服するための「心の自立」と、それを促す16のメッセージ

冒頭でもお伝えしましたが、克服するためには「心の自立」が必要です。ここでいう「心の自立」とは、以下の3つです。
- 猜疑心を受け入れること(そのままの自分を受け入れる)
- 裏切られてもいいと思うこと
- 人に期待しないこと
これらの「心の自立」を促すため、16個のメッセージをご用意しました。

16個って多くない? 消化しきれない
すべて覚えたり、やってみたりしなくても大丈夫です。猜疑心で苦しくなったとき、これを読んで、そのとき心に届いたものがあれば、それを大切にしてください。

そんな感じでいいの?
はい、ラフな感じで使ってください。毎回違うメッセージが引っかかるかもしれませんが、それで構いません。同じでも構いません。

はい
何度も何度も使っているうちに、少しずつ、猜疑の気持ちが小さくなっていきます。
・「心の自立」を促す16個のメッセージ
1.よけいに大きくなるので、むりに押さえつけない

ネガティブな感情は、むりやり押さえつけても無くなりません。よけいに気になるし、大きくなります。だから「あ、疑ってるなー、私」くらいにして、あとは別なことに集中しましょう…。

回路が強化された脳が、かってに送ってくるんだもんね。相手にしない。
2.猜疑心にこだわりすぎない

誰でも嫌な面があるものです。見えないけど、みんな、いろいろと心に悪い顔を持っています。だから、猜疑心なんて、たいしたことありません。自分の中にしまっておけば、人を傷つけませんから。

猜疑心とは比べものにならない悪い感情を隠している人もいると思う…
3.猜疑心自体に「善悪」の判断をしない

たしかに、猜疑心は嫌だと感じるかもしれませんが、だからといって、善悪で決められるものでもありません。ただ、猜疑している。それだけです。嫌いすぎず、適度に向き合いましょう。

善悪をきめちゃうと、嫌い度が高くなるもんね
4.「懐疑心」だと思う

ただのリスクマネジメントだと思える部分は、そう思いましょう。「猜疑」だけじゃなく「懐疑」の一面だってあるはずです。

「懐疑」はけっこう必要だよ
5.疑いは疑いでしかない。事実とは違う

冷静に過去をふりかえってみると、疑いがどれだけ当たっていたでしょうか。たくさん当たっていたら、それはすばらしい能力です。ほとんど当たっていないなら、ただの思い過ごしです。当たっているかどうかわからないなら、考えてもしょうがないものなのかも。

「あ、また、思い過ごしてる」って思えたらラクだね
6.自分の理想通りにはなれないし、ならなくていい

そもそも、人は自分の理想通りの人間にはなれません。理想はいつもふらふら動くし、完璧なんて、人間に当てはまる概念ではありません。ありのままの自分をどういかすか。それが幸せのコツです。

でも、私は理想の自分になりたいな。自分をいかした理想ならかなうかな?
7.理想の人間関係を築けなくてもいい

人間関係はこうでなくちゃ! って、意外と私たちは、そう思い込まされています。常識や憧れなどにとらわれず、自分に合った、自分がラクでいられる人間関係。それを見つけましょう。

自分がラクな人間関係って、自分が思っているのと違うことが多いよね
8.たいしたことじゃないなら、騙されてもいい

「おおきな損害がないなら、多少だまされてもいいや」って思うのもアリです。だまされる前提でいると、気持ちがラクですよ。あとは、好きなことでもやりながら過ごしましょう。

なんか自分の心が広くなった感じがするよね
9.相手を信用できなくても、誠意を尽くす

今のあなたには、どうしても猜疑心が生まれてしまいます。脳の問題なので、それを、抑えることはなかなかできません。だったら、他のできることをしましょう。猜疑心を持つ代わりに、相手に誠意を尽くしてみるのはどうでしょう。

誠意を尽くすのは自分しだいでできるからだね
10.相手を信用できなくても、好きなところを探す

相手を「疑う」ことと「嫌う」ことは違うものです。強い猜疑心は脳の回路の問題。しかたがありません。でも、相手を嫌う必要はありません。疑う代わりに、その人の良いところを探して、埋め合わせをしましょう。

疑う代わりって変だけど、良いところ探すのは気持ちがいいよね
11.許さなくていいが、裁かない

猜疑心に対しても、猜疑心が「当たって」しまったことに対しても、善悪の判断をすると、よりいっそう苦しくなります。気持ち的に「許せない」と思うのは、しかたがありませんので、せめて「許せないけど、でもそれだけ」と思ってみましょう。

難しそうだけど、大人な対応って感じがする
12.猜疑心を書きだし、翌日返事を書いてみる

自分の猜疑心と会話をしてみてください。自分は大人で優しい人の役です。もしくは、猜疑心を日記に書き出して、翌日(もしくは、落ち着いた日)、それに返答してあげてください。そういう、習慣を持ってみましょう。

これ、けっこう効果があるみたいだね。特に日記
13.猜疑心を客観視する

猜疑心が湧きあがったとき、意識の中で、一歩後ろに引いて、この人(自分)は今、猜疑しているな、と自分を客観視してみてください。もしくは、猜疑心の原因を思いだし、自分を冷静に観察してみてください。ふっと、猜疑から心が離れます。

原因を思い出すことが、ここで役立つんだね
14.今(別なこと)に集中する

猜疑心は客観視することで、気持ちがふっと離れます。離れたら、意識をして別な何かに集中してください。仕事でも、好きなことでも、何でもかまいません。そうすることで、そのときの猜疑から離れられます。

「いまここ」とか「マインドフルネス」のことだね
15.自分から心を開くと決める

猜疑心を受け入れる、人に期待しない、その一方で、自分も心を開く練習をしましょう。そのためには、むずかしいですが、「裏切られてもいい」と思うことが大切です。そのうちに、実は、そこまで裏切られないことに気がつきます。

猜疑心を受け入れて、気持ちに余裕が生まれてから、その次だね
16.小さくても「信じてみる」行動を増やす

がんばって、傷つかない程度の小さいことから信じてみましょう。とはいえ、むずかしいので、最初は、裏切られてもいいと受け入れる練習がおすすめです。それをくり返して、相手のいう通りになった経験を積めば、少しずつ、信じることができるようになります。

本当は「期待はしないけど、そうなったら嬉しいな…」くらいでいいんだよねー
猜疑心とは? 強い猜疑心をなくすための「心の自立」と16のメッセージ【まとめ】

では、それぞれの章の「POINT」です。
「猜疑心」と「懐疑心」の違いは、心の問題
傷つかないための心の鎧、叫び、それが猜疑心
猜疑する自分は本来の自分ではないのに、自分を責めてしまう
信頼を大きく裏切られた、悲しい過去がある
懐疑心の原因を知ることで、気持ちが楽になり、猜疑心を客観視できる
そして、猜疑心を克服するための「心の自立」とは…
- 猜疑心を受け入れること(そのままの自分を受け入れる)
- 裏切られてもいいと思うこと
- 人に期待しないこと
時間はかかりますが、過去のできごとを受け止め、そのままの自分を受け止めることを続ければ、猜疑心は和らぎます。完全になくなりはしませんが、上手に利用し、人生を楽しめるまでには回復しますから、安心してください。
でも、猜疑心があまりに強く、日常の生活に支障がでるほどなら、カウンセリングや精神科の受診もおすすめします。プロを頼るのも、大切なことです。

みなさんの気持ちが、少しでもらくになりますように
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